

糸魚川-静岡構造線
フィールドミュージアム

春木川にも観察しやすい断層の露頭がないだろうか?
早川町では、構造線(断層)を観察できる露頭が少なくとも4か所(北側から、西山、湯島、新倉、春木川栃原堰堤)あることが判明しています。
ただし、このうち栃原堰堤の下部にある断層は水中にあるため、どなたでも気軽に観察していただける露頭として適しているとは言えません。
訪れる方に趣の異なる多くの露頭を観察して楽しんでいただけるように、春木川沿いにも観察しやすい露頭があれば望ましいと思い、地質図上で 存在が確認されている露頭を有効に利用できないか確認することにしてみました。

産総研が刊行した「5万分の1地質図幅身延」を見ると、春木川沿いに確認できそうな露頭が数か所ありそうですが、もう少し詳しく地質図を見ます。
地質図を作成するときに、断層の露頭があれば「●」で示されることから、●印がないか確認してみると、春木川沿いでは白糸滝の西側対岸(赤い〇印)にありました。
また、実際に現地を訪れてみると、露頭が見られそうな数か所の候補地のうち、2024年8月現在で現地を確認できるのは白糸滝近くの七面山登山口付近のみ(赤い〇印)となっています。
これは、ダンプカーによる土砂運搬作業が行われていることや、七面山登山口より上流(南側)は砂防上立ち入ることができないことが、その理由です(赤い✖印)。
白糸滝近くで地質図に表示された露頭付近(道路より上部)
●印付近は草木に覆われ、西山や湯島、新倉の断層露頭のように、粘板岩と凝灰(角礫)岩が接する露頭は見つかりません。
見えてくるのは、およそ600~700万年前の新第三期、後期中新世の後期に、激しい火山活動によって海底に噴出したマグマが固まってできたとされている「烏森山火山砕屑岩部層」の凝灰岩や凝灰質砂岩と思われる地層のみで、「四万十層群」の粘板岩は見当たりません。





白糸滝近くで地質図に表示された露頭付近(道路より下部)
付近の地層と岩相
断層があると思われる周辺で見られるのは、凝灰質の地層でした。
雨畑地内で見られるような粘板岩は見つかりましたが、断層想定地点より50m以上も上流側(南側)で、明確な断層の露頭を見つけることはできませんでした。
冬場になったら、草木が枯れた状態で何が見えるかを再度確認してみたいと考えています。

粘板岩は断層予想地点より50m以上も上流側(南側)に離れた地点で現れる。
周辺は、凝灰質の地層に囲まれている。

(崖から落下した)黒色粘板岩の割れ方と表面
断層予想地点より50mほど南側(春木川上流側)の道沿いで確認できた粘板岩の割れ方と表面です。
発見地点と断層予想地点の間のどこかに、凝灰岩と接する断層の露頭が見えるといいのですが・・・

