

糸魚川-静岡構造線
フィールドミュージアム

春木川の露頭
断層写真と説明
日本列島を縦断する「糸魚川-静岡構造線」は、南部フォッサマグナ(大地溝帯)の西縁の断層として、早川町内をほぼ早川沿いに縦断しています。
ただし、角瀬(すみせ)からは早川支流の春木川に渡り、南北に縦断しながら静岡方面に抜けていきます。
早川沿いと同様に、春木川でも典型的な逆断層(上側が黒色粘板岩/下側が凝灰角礫岩)が続いていることが分かっていますが、現在のところ、観察しやすい露頭は整備されていない状況です。
七面山登山口まで向かう途中にある「栃原堰堤」では、堰堤下部の水中に露頭が現れていますが、水中にあるため、水量が多い時は近寄ることができません。


【看板の説明文】
我が固有数の崩壊地として知られる七面山からの土石の流出を防ぐために、春木川に構築された栃原堰堤の河床部には岩盤が露出しており、左岸側(西側)には四万十帯の粘板若が、右岸側(東側)には巨摩層群の火山岩・凝灰岩類が分布しています。
この両者の境界は糸魚川―静岡構造線と呼ばれる断層です。この断層は左岸側の端から6~ 7m付近に認められ、火山岩・凝灰岩類に四万十帯の粘板岩が乗り上げる逆断層です。
糸魚川―静岡構造線は地質学的に、日本列島を東と西に区分するものであり、またユーラシアプレートと北米ブレートの境界でもあります。
栃原堰堤はコンクリート造りの堰堤として本邦における初期のものとして文化的価値を有するものですが、同時にこの堰堤の河床部には地球科学分野における重要な現象も記録されています。
出典:日本上流文化圏研究所
断層周辺の見どころ(栃原堰堤)


【昭和初期の砂防技術を今に伝える、風格ある有形文化財】
栃原砂防えん堤は、春木川流域に現存する最も古い砂防堰堤です。
昭和8(1933)年3月完成の本えん堤と、昭和11(1936)年完成の副えん堤で構成され、練石積構造による重力式コンクリート造となっています。
春木川は現在も土砂の生産・流出が激しい流域であり、栃原砂防えん堤もところどころ損傷が見られるものの、その箇所を補修し完成当時の形状を維持しながら現在も運用されています。
保存状態も良く、本えん堤と副えん堤の袖部や水通しの天端には練石積特有の石張が今も確認できます。
完成から約80年たった現在、昭和初期の砂防計画や施工技術、施工方法などの施工に係わる歴史を今に伝える黄重な砂防えん堤であるとともに、えん堤から水が流れ落ちる様子には滝のような迫力があり、良好な渓流空間を醸し出していることから、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として、平成22(2010)年 1月15日 に登録有形文化財として登録されました。
出典:国土交通省富士川砂防事務所
アクセス
早川町役場より、角瀬(スミセ)から春木川沿いの町道を南向き(七面山登山口方面)に約2km進むと、右側に普通車3台分ほどの駐車スペースがあります。
現在のところ、堰堤下部に通ずる遊歩道はないため、一般の方の観察はできません。
(今後、遊歩道が整備される予定です。)
駐車場と施設案内
数台分の駐車スペースがあり、案内板も設置されていますが、堰堤まで通ずる安全な歩道は確保されていません。
また、トイレもありません。
平日はダンプカーの往来があるほか、足元も悪いため、一般の方の見学はできません。
