

糸魚川-静岡構造線
フィールドミュージアム

南アルプスには北極圏でしか見られないはずのライチョウやキタダケソウが生息
南アルプス北岳では北極圏にしか存在しないキタダケソウやライチョウを見ることができますが、これは氷河期に生物が拡散した証拠です。
【約2万年前をピークとする最終氷期に大陸から日本列島へ】
今の日本の年平均気温より7~9℃も低く、北海道は大陸と陸続きとなり、寒冷な気候に生活していた大陸の動植物が日本列島に南下して来ました。
その後、気温が上がったときに取り残された植物は、高山の山頂域などに孤立して分布することになりました。
【氷河期の遺存種】
氷河期に拡散して南アルプスに生育した植物のうち、今も生存している植物は「氷河期の遺存種」と呼ばれています。
キタダケソウの他にも、タカネマンテマ、チョウノスケソウ、ムカゴユキノシタ、ムカゴトラノオなどが確認されていますが、いずれも生育の南限とされています。

出典:国土地理院地理院地図(電子国土ウェブサイト)を基に作成
https://maps.gsi.go.jp/index_3d.html?z=11&lat=35.57440335621816&lon=138.40370178222656&pxsize=2048&ls=ort#&cpx=1.250&cpy=-31.000&cpz=10.581&cux=-0.052&cuy=-0.385&cuz=0.921&ctx=4.711&cty=-1.238&ctz=-1.597&a=1&b=0&dd=0
ナウマン博士の地質構造では分布特性の説明が困難
プレートテクトニクス理論の前は、陸地の沈降と隆起で説明されていました。
ナウマン博士が130年ほど前に唱えた、陸地の沈降と隆起で説明する地質構造では、南アルプスの貴重生物の分布特性の説明は困難です。
【ナウマン博士】
ナウマン博士(H.E.Naumann:1854-1927)は、日本のもう一つの大断層線である中央構造線を発見した方です。
【フォッサマグナ】
博士は、糸魚川-静岡構造線を西側の境界として、それより東側の地域をフォッサマグナ(FossaMagna=大きな溝)と呼びました。
フォッサマグナは,およそ1,500万年前日本海の拡大に伴って、陸地の沈降によって形成された凹地とされていました。
【陸地の沈降と隆起で説明する地質構造】
〇 沈降によって湖や盆地が形成
仁科三湖(青木湖、中綱湖、木崎湖)~松本盆地~諏訪湖~釜無川~甲府盆地(西端)~富士川~太平洋
〇 隆起と火山活動により山地が形成
フォッサ・マグナに関係した火山:焼山・妙高山・黒姫山・浅間山・霧ヶ峰・蓼科山・八ヶ岳・富士山・愛鷹山・箱根山・天城山など